プロ野球の違った見方②

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みなさん、こんにちは。

今回もプロ野球の違った見方について見ていきます。

今回はITの続きになります。

それでは、今回もよろしくお願いします。

モーションキャプチャー

モーションキャプチャーは野球の動作解析に広く活用されており、特にピッチングやバッティングの動作を3次元的に捉えることで、詳細な解析や評価を可能にしています。以前は専用のマーカーをつけて分析する必要がありましたが、今はマーカーレス技術の進歩により、ユニフォームを着たまま、より手軽に計測できるようになりました。 そのため、映像さえあれば簡単に動作解析ができてしまいます

そして、モーションキャプチャーの進化により、選手の癖だけでなくサインパターンの分析も簡単にできるようになりました

ちなみに、映像はホーム球場ならいくらでも入手できます。テレビで流している映像はキャッチャーやコーチがサインを伝えているシーンはカメラのアングルを変えてなるべく映さないようにしていますが、それ以外の映像ではそんなことはしていません。

注意:サイン盗みはルール違反ではありません

サインと言うとサイン盗みのイメージがありますが、これはチームの戦略として立派に存在しています。

プロ野球では、プレー中のサイン盗みはルール違反になっています。これは厳密に言うと盗んだサインを仲間の選手に伝えることが禁止されているだけで、サイン盗み自体やサインパターンが盗まれているのはルール違反ではありません。サインの「解読」をすることも戦略上必要ですし、偶然気づいたことにすれば罪には問われませんから。

しかし、世間的にはずるい、ルール違反のようなイメージがあるため、明確にサイン盗みが表に出てくることはありません

なお、今回の記事は「サイン盗み」だけ切り取られる恐れもあるので、コメント欄は停止させていただきます。

サイン盗みは常識

念のため述べておきますと、サイン盗み自体は昔から行われています。それこそ昔はバックスクリーンから望遠鏡で覗いていたというのもありましたね。

プロ野球ならどの選手も知っていますし、高校野球でも強豪校になるとサイン盗みのことを意識します。ただ、プロ野球でも高校野球でもたまにあからさまにサイン盗みを疑われるヘマをする選手がいて、そのときにサイン盗みのことが話題になります。

そういうサイン盗みの話題になると、OB選手の方が急によそよそしい態度や曖昧な言い方をになります。それはサイン盗みというか、サインの解読・サインパターンの分析が常識だからです
特にキャッチャーだった方は自分もサインパターンが盗まれていることを逆手に取ったやり方をしていたこともあります。

しかし、サイン盗みやサインパターンの分析には上記のように世間的にネガティブなイメージがついているので、OB選手は軽々しく言えないのです。言ったらそれがマスコミに取り上げられ炎上騒ぎになるのは間違いないですし、球団のサイン分析戦略にも支障をきたしてしまうため、下手をすると干されます。

現に、ラジオの中継でサイン盗みのことを話した解説者が仕事を干されてしまった話もあります。そういうトラブルを避けるためにサイン盗みのことはあえて言っていない(言わない)だけなのです。

今の技術なら映像さえあれば選手の癖やサインの解読は容易

サイン盗みなんて、そんなことできるわけがない。外野席から太鼓か何かで伝えているのか?キャッチャーのサインをカメラか何かで盗撮しているのか?

という意見をたまに目にしますが、時代錯誤も甚だしいです。

今の時代はITがあります。モーションキャプチャーだってその1つです

IT企業をオーナー企業としてもつ横浜DeNAベイスターズはホームページにITを駆使した分析のことをハッキリと書いています。

https://dena.ai/works/yokohama-dena-baystars-team

横浜DeNAベイスターズは、従来のスコアラー陣に親会社のゲームアナリストが加わり、あらゆるデータを解析しています。これまでは球場のバックヤードで行っていた作業を、今は本社の精鋭部隊が遠隔で行い、現場にフィードバックできます。そして、外野席からは捕手が、ネット裏席からは投手が、内野席からはベンチの動きが丸裸になっていて、8Kテレビなどを使って動きを集めれば、相手チームの様々な動きはすべてわかります。かつてのバックスクリーンの隙間から望遠鏡で捕手のサインを盗むといった前時代的なスパイ行為とは次元が違うのです。

DeNAはIT企業なのでこうやってIT戦略を公開していますが、もちろん企業秘密で公開できない部分もあります。
先ほどのDeNAのページも、自チーム(横浜DeNAベイスターズ)の選手のことしか触れていませんが、自チームの選手だけ調べて相手チームの選手のことは調べないなんて不自然ですよね

また、他球団も程度の差こそあれ、こういうITを駆使した分析はもちろんやっています。チームの作戦に関わることなので公開していないだけです。

AIの活用

今はAIでの予測も可能になっています。オープン戦である程度サインパターンを把握しておけば、AIで簡単に見抜けます。監督が変わっていないなら前年度の試合映像もAIでの予測の役に立ちます。

サインを出してプレーするのは人間なので、各球団もサインは人間が覚えられる比較的シンプルなものにしないといけません。複雑にしすぎると選手や監督・コーチが覚えられなくなり、サインミスが生じやすくなってしまいます。人間が覚えられるシンプルなサインなら、今のIT技術を使えば一瞬で盗めます。

もちろん、AIはまだ未発達なので、全チームのサインパターンや選手の癖が見抜けるわけではありません。しかし、AIと思考と相性が良いチームのサインパターンや選手の癖は盗めてしまいます

また、技術の進歩と共にどんどん早くサインパターンや選手の癖を盗めるようになるでしょう。下手をすると次の試合のサインパターンの予測もできるでしょうし、出場選手の癖などのデータと組み合わせれば、自チームの選手が自滅を繰り返さない限りは勝てます。

選手の癖はそう簡単には直りません。意識すると違うところがおかしくなって、かえって成績が悪くなります。サインパターンについても、どういうときに相手チームがサインパターンを変えてきて、どういうサインパターンになるかを予測することもできてしまいます

これが極端な勝ち越し・負け越しのチームを生んでいる背景です。

今後はITツールの重要性が高まる

自分の贔屓チームがサイン盗みなんてしていない、サインパターンを盗むことはしていないと信じたい気持ちもわかりますが、今どきこれをやっていないチームなんてありません。やっていなかったらむしろ時代遅れで優勝なんてできませんし、令和4年度の2次試験の事例Ⅲでも出てきた「いまだに紙ベース」ではプロ野球の球団としてやっていけません。

要は禁止されている選手への伝達をしなければいいだけですから、戦略を考えるのに盗んだサインパターンを活用することはルール違反ではありません。

今後はどんどんAIの精度やITツールの重要性が高まっていくでしょう。

診断士なら「サイン盗みなんてしていない」と意地を張るのではなく、AIやITツールを使ってサインパターンや選手の癖などを研究していることを認めましょう

今回はプロ野球の違った見方として、ITのことを見ていきました。

今回もありがとうございました。