みなさん、こんにちは。
前回まではプロ野球のIT面について見ていきましたが、今回の記事は心理面の内容となっています。
「中小企業診断士としての見方」である経営・技術・ITの三大視点ではありませんが、その次点になるくらいのものです。
みなさんにもプロ野球やJリーグなどで贔屓球団があるかもしれません。もしかしたらメジャーリーグやヨーロッパサッカーのチームを贔屓球団にしている方もいらっしゃるかもしれません。
今回はそんな贔屓が負けるとイライラする理由について見ていきます。
メインの文章はプロ野球にしていますが、もちろんJリーグやメジャーリーグ、ヨーロッパサッカーにも当てはまることですし、バレーボールやバスケットボールのチームにも当てはまることです。そのままご自身の贔屓球団(チーム)に置き換えてみてください。
それでは、今回もよろしくお願いします。
今回のサムネ画像は、広島バスセンターにしてみました。この隣には昔は広島市民球場があり、広島カープのかつてのホーム球場でした。負けてイライラしているファンがここにたくさん出現していました。
イライラする理由
プロ野球などで贔屓球団が負けるとイライラする理由は、心理学的にも感情的にも、いくつかの要素が関係しています。以下に代表的な理由を出していきます。
そして、これが依存症にもつながっていて、メンタルを崩す原因にもなっています。

自己同一化(identification)
これはエリク・エリクソンという発達心理学者が提唱した概念で、特に青年期における「アイデンティティの確立」の文脈でよく使われます。
自己同一性(アイデンティティ)を形成する過程で、自分が誰であるか、何を大事にしているか、どこに属しているかなどを自覚する場面ででてきます。
自己同一化は、そうしたアイデンティティを作る中で、特定の価値観・ロール・人間関係と「自分を同一視」するプロセスを指します。
例えばある青年が「自分はアーティストだ」と思うとき、その職業的自己像に自分を同一化していることになります。
そしてここからが贔屓球団に関わることですが、贔屓球団が勝つと気分がいい、負けるとイライラするのは、あなたが贔屓球団に強く「自己同一化」しているからです。
つまり、ファンは贔屓の球団を「自分の一部」と感じていて、その球団の勝敗を自分のことのように感じるのです。例えば勝つと自分が勝ったように感じる一方、負けると自分が否定されたように感じ、ストレスや怒りにつながるのです。
「○○ファンである自分」という自己同一性(アイデンティティ)があると、球団の勝ちは自分の誇り、負けは自分へのダメージになります。これが、例えば阪神ファンの方なら「阪神が負けると、自分が否定されたような気分になる」ということになり、イライラしてしまうのです。
自己同一化は、自分にとって重要な人物の真似をすることを通して、叶わない願望による空虚感・葛藤に対処する防衛機制です。
期待と現実のギャップ
これは認知的不協和として現れます。企業経営理論のマーケティングの関与に関する論点でも出てきましたね。
つまり、応援するチームには「勝ってほしい」という強い期待があります。「勝ってくれるはずだ」という期待に対し、「負けた」という現実が来ると、期待と結果のギャップが「認知的不協和」を引き起こし、心理的な不快感となります。この不快感がイライラとして現れるのです。
特に開幕戦や優勝がかかる試合など、期待が高いほど負けたときの落差は大きくなります。「今日こそ勝つ」と思っていたのに負けたとき、脳内での報酬系が不満足になり、大きなストレスを感じます。
また、誤審やミス、采配のまずさで負けた場合も認知的不協和が大きくなり、「納得できない」というフラストレーションが強くなります。後味悪い負け方をするとファンが怒りの動画を出し、再生数を稼げるのも、このような性質があるからです。
コントロールできない無力感
自分ではどうにもできないこと(=試合結果)に強く感情を入れていると、無力感が生まれやすくなります。
当たり前ですけど、プロ野球などの試合は選手がプレーするものです。ファンがプレーするわけではありません。ファンは試合の結果に影響を与えられないため、無力感を感じます。つまり、自分は一生懸命応援はしているのに、試合に負けると認知的不協和が生じ「どうして…」と感じてしまいます。これが積もると、「怒り」や「イライラ」として現れやすくなります。
これは認知的不協和の他にも「学習性無力感」や「コントロール欲求」に関連しています。特に選手のミスプレーに対して強い怒りが湧くのはこれらが作用しているためです。
ストレスの代償行動
ファンの中には日常生活でのストレスが野球観戦の感情に上乗せされていることもあります。例えば仕事や家庭で抑圧された気持ちを晴らすために試合を見ていることもありす。そうなると勝敗によってメンタルに投影されやすくなります。
贔屓球団が試合に負けると「自分は普段からやられているんだから、野球くらい勝ってくれよ!」という気持ちが出てしまい、余計にイライラしてしまいます。
社会的比較とプライド
試合は引き分けもありますが、勝ったチームがあると相手チームは負けたことになります。
その勝ったチームやそのチームのファンと比べ、「自分のチームは負けた」ということで、屈辱や悔しさを感じることがあります。
ネットの書き込みや動画でもよくあることですが、勝ったチームのファンにマウントを取られることや、いじめのように煽られることがあります。こうなると最初に見た自己同一化の観点からすると、自分が傷つけられたことになります。
感情移入・共感性
長く応援していると、選手に強く感情移入するようになります。そして、自己同一化が作用して、選手が失敗したりチームが負けたりすると、自分の身内が責められているように感じてしまいます。
また、エラーをすることや打てないこと、抑えられないこと、負け試合などを「悲劇」や「裏切り」と感じるファンもいます。
コミュニティ意識と競争心
他球団のファンとの競争やSNS上の論争も、感情を増幅させます。特にライバル球団のファンに煽られたり、マウントを取られたりすると、「ファンとしてのプライド」が傷つけられたと捉え、無性に腹が立ってしまうのです。
今回はプロ野球などで贔屓球団が負けるとイライラする理由について見ていきました。
これも中小企業診断士としての見方として頭に入れておくこともいいと思います。そうすると、負けたときこそこれらの理由を意識し、自分の感情を「ファンとして当然の反応だな」と一歩引いて見る練習や、「面白い試合だったな」と視点を変える練習にしていきましょう。それによってイライラも緩和されスッキリしやすくなります。
今回もありがとうございました。