みなさん、こんにちは。
今回はプロ野球の球団の事例から学ぶシリーズの第3弾(第1弾は中日ドラゴンズ、第2弾は福岡ソフトバンクホークスでした)として、阪神タイガースの例を見ていきます。
それでは、今回もよろしくお願いします。
阪神タイガース
阪神タイガースは大阪と神戸を結ぶ阪神電鉄が所有する球団で、親会社は鉄道会社です。

僕からすると、阪神と言えばタイガースよりも電車ですが(笑)
そして、実は大阪府ではなく兵庫県の球団です。しかし、実質的には大阪府の球団になっていて、大阪の球団だと勘違いされている人も多々います。
関西ローカルのニュースでは当たり前のように阪神タイガースを取り上げているため、関西人なら野球に興味がない人でも阪神タイガースへの情熱が染み付いています。どこに行っても誰と話しても阪神タイガースの話をしたら盛り上がります。
また、診断士でも阪神タイガースファンは多くいて、普通なら野球の話はしない診断士でも阪神タイガースだけは診断士どうしで話したり球場に応援に行ったりしています。
(残り11球団については、ファンとして個人的に球場に行く診断士はいても、診断士どうしで球場に行く人は少ないです)
ファンが熱狂的
阪神タイガースのファンは熱量が激しく、関西弁のイントネーションやフレーズも影響してヤジがキツい、喧嘩口調で怖いとも言われています。
ホーム球場の甲子園の試合となると、ビジター側のレフトスタンドのごく一部を除いてすべて阪神ファンでスタンドは埋め尽くされるため、相手球団の選手には相当やプレッシャーがかかっています。これが甲子園での阪神の勝率アップにつながっています。
そして、阪神タイガースファンのごく一部ではありますが、阪神タイガースの選手がデッドボールを受けたり、阪神タイガースに不利な判定がされたりすると暴徒化します。また、相手球団の選手のSNSに誹謗中傷のメッセージを送ったり、その選手の家族や関係先にクレームを言ったりするファンもいます。
こういうことが「阪神ファン=暴力的で怖い」と世間から思われている要因であり、こういう暴徒化や過剰なクレームがあると余計にそのイメージが強化されてしまいます。
大部分の阪神タイガースファンは良い人です。しかし、ごく一部の身勝手なファンのせいで阪神タイガースファン全体が悪く思われるのは残念に思えます。
真っ当な阪神タイガースファンからすると、こういう暴徒化するファンや過剰なクレームを入れるファンは阪神タイガースファンを名乗らないでほしいというのが本音でしょう。
暗黒時代からの変化
さて、ここからはポジティブな話です。
阪神タイガースと聞いて真っ先にイメージするのが、1987年から2001年までの15シーズンで最下位10回を経験するなどした「暗黒時代」という低迷期だと思います。
この頃は何をしてもうまくいかず、他球団ファンから常にバカにされている(ネタにされている)状況でした。毎年のように助っ人外国人野手を連れてきては「バースの再来」と地元マスコミに言われ、ほとんど活躍せずに帰国することの繰り返しでした。
しかし、2001年以降は安定してAクラス入りしており、定期的に優勝争いに絡んでいます。2023年には日本一、2025年も順調にシーズンを戦っています。
この暗黒時代からの脱却した取り組みに、診断士として見習うことができるポイントがあります。
①トップ(球団)がやる気を出した
前回はトップ(球団)のやる気がない中日ドラゴンズを見ていきました。
阪神タイガースも中日ドラゴンズと同様に伝統ある球団で、地元マスコミも球団のイエスマンです。監督もOB選手です。
しかし、暗黒時代以降の阪神タイガースはトップ(球団)にやる気があるのです。トップ(球団)にやる気があるから現場の監督・コーチや選手もやる気になり、ポジティブな組織文化が根づいています。
②カリスマ性のある監督を招聘
阪神タイガースは基本的に球団OBしか監督になりません(これは読売ジャイアンツや中日ドラゴンズも同様です)。球団内部の派閥やスポンサーに顔向けできないからです。
しかし、暗黒時代から脱却するために、阪神タイガースのトップ(球団)は外部からカリスマ性のある監督を招聘しました。それが、ヤクルトスワローズでカリスマ的な監督だった野村克也監督と、中日ドラゴンズでカリスマ的な監督だった星野仙一監督でした。
野村監督の頃は確かに勝つことは難しかったのですが、「ID野球」に代表されるノウハウとして、野球の戦略や戦術をデータに基づいて科学的に判断して実践する野球スタイルを伝えました。今までいかに選手自身が野球に対して適当に考えていたかがわかり、野球に対する考え方や姿勢を外部から注入することができました。
そして、星野監督は勝ちにこだわることを徹底し、地元マスコミを使って「勝ちたいんや」というフレーズをチームやファンに浸透させました。
ここで暗黒時代で負け犬根性が染み付いていたチームやファンから徐々に負け犬根性がなくなっていきました。そして、徐々に勝ちが増えていき、2003年に星野監督のもとで優勝することができました。
③長期的なプランを考える
2010年代になるとIT技術が大幅に進化し、様々なデータを蓄積できるようになりました。この頃から長期的なプランを球団も考えるようになり、IT技術の活用による他球団選手の弱点や癖、サインパターンの把握などを長期的に行うようになりました。これはどの球団でも行っていて、具体的な内容はわかりませんが、今の時代にITを駆使していない球団はありません。
また、スカウトに対する姿勢も変わりました。それまでは外国人、FAによる短期的な強化ばかりしていたのですが、それでは一時的には勝つことができても故障や契約切れなどですぐに戦力が落ちていました。
しかし、2010年代に入るとスカウトは長期的な視野でチームを考えていくようになりました。
ドラフトで指名する選手をきちんと集め、長期的な視点でドラフトの指名をするようになりました。単に選手の存在を把握するだけでなく、入団後に1軍で通用できるかどうか、故障しないかどうかなどの情報もきちんと集めているため、1軍で活躍し故障もしにくい選手を多く獲得することができ、長期的にチームの戦力として活躍できる選手を多く抱えることに成功しました。
2023年の日本一や2025年の活躍は、この長期的なプランの賜物です。まるで他球団が示し合わせたかのように阪神タイガースに都合の良い展開になっていますが、これは他球団が短期的な視野で目先の勝ちにこだわっていて、長期的なプランを考えていないためです。他球団が故障などで自滅をして、気づけば阪神タイガースがそのまま首位を独走しているのです。これは決して八百長でもインチキでもなく、戦略の差として当たり前のことなのです。
診断士として学べること
さて、ここからは診断士として学べることについて見ていきます。
①カッとならない
当たり前ですが、診断士はカッとなって暴れたり他人に暴言を吐いたりしたら終わりです。そんな診断士がいたらクライアントから契約を打ち切られますし、周りの人にも情報が伝わって一斉に離れていきます。
診断士なら不快なことが起きても冷静でいることが求められます。それが謙虚な態度であり、相手への敬意などの現れです。
不快なことが起きたとしても、暴徒化はもちろんですが、カッとなって暴言を吐いたりクレームを言ったりするのは診断士の態度としてふさわしくありません。
当たり前ですが、誹謗中傷のメッセージを送ることや暴徒化をしたら即レッドカードです。
②喧嘩口調はNG
診断士なら野球観戦の際に選手に向かってヤジを飛ばしてはいけませんよね。選手は一生懸命プレーをしています。ヤジを飛ばすのは自チーム・相手チーム問わず選手に敬意や感謝の気持ちがない、選手の労をねぎらっていない証拠です。
また、野球観戦時以外でも喧嘩口調で相手を威圧し緊張感をもたせるというのも謙虚な態度ではありません。
コンサルティングでも相手の社長や従業員に対して威圧的な態度で無理やり従わせようとしたり、相手を責めたりするのは診断士としてふさわしいものではありません。
③やる気をもつ
診断士としての仕事に対し、モチベーションを上げていく必要があります。
企業内診断士の方は、本業が忙しくて診断士としての仕事まで意識を回すのは難しいかもしれませんが、できることからでいいので診断士としての仕事へのモチベーションを上げてみてはいかがでしょうか?
それこそ、この後の④のように外部からの刺激を入れることもできますし、そこで刺激を受けて本業の仕事でもイノベーションや高次学習が起こるかもしれません。
④時には外部からの刺激を入れる
先ほどの野村監督と星野監督の例のように、時には外部からの新鮮な考え方を入れて刺激を受けると診断士としての能力が向上しやすくなります。
イノベーションや高次学習ですよね。既存の枠組みのままだとイノベーションや高次学習は起きません。「中小企業診断士」の外部から新鮮な意見や価値観を入れることで、イノベーションや高次学習が起きて診断士としての能力が一気に向上します。
僕もほめ達を学んでからはコミュニケーションの能力が向上しました。また、診断士としての仕事(コンサルティング、講師、受験生支援など)にも役立っています。ほめて相手のモチベーションを上げることで、相手に満足してもらいやすくなりました。
⑤長期的なキャリアプランを考える
阪神タイガースのように、長期的な戦略があれば結果を変えることができます。
短期的に考えるのではなく、3年や5年のスパンでキャリアプランを練っていくことで、活躍する診断士にも大きく近づくと思います。
今取り組んでいる仕事や勉強は長期的に見るとどういうことにつながるか、活躍する診断士になるためには毎年どのようなことを行えばいいかなど、長期的にキャリアプランを考えてみるといいと思います。
今回は阪神タイガースから診断士として学べることについて見ていきました。
今回もありがとうございました。