みなさん、こんにちは。
今回は社長のやる気がない場合について見ていきます。
それでは、今回もよろしくお願いします。
中日ドラゴンズが弱い理由
突然ですがみなさん、プロ野球12球団の中で最もAクラス(各リーグの1〜3位)から離れている球団はご存知ですか?
答えは中日ドラゴンズです。
2012年の2位を最後に、現在(2025年)までBクラスです。2022〜2024年は3年連続最下位です。
確かに、中日ドラゴンズは2020年にAクラス(3位)になったことはあります。しかしこの年はコロナの影響でレギュラー戦が終わってから行うクライマックスシリーズがなく、優勝以外は意味のない年でした。優勝チームが決まってからは消化試合になり、順位に意味はなくなっていました。他球団は若手選手を起用している中で中日ドラゴンズだけはフルメンバーで勝ちを狙いにいき、ギリギリ3位に入ることができました。
しかし、通常通りの年でクライマックスシリーズ争いがあったら4位のBクラスだったでしょう。
それを踏まえると、実質的には2013年から今年までずっとBクラスです。現時点までの連続Bクラス期間は(2020年を実質Bクラスとすれば)12球団で最長です。
中日ドラゴンズが弱い理由
では、なぜ中日ドラゴンズは弱いのでしょう?
これも原因はいろいろありますが、根本を辿るとフロント(球団経営陣)にやる気がないからです。だからこそ、以下のようなことが起こっています。
・球団のOB選手しか監督にさせない
・球団自体に派閥があり、権力争いや敵対派閥の足を引っ張ることしか考えていない
・地元マスコミは球団のイエスマンで批判することはない
・昔からの伝統のほうが大事で新しい風を入れたくない
・前向きではなく後ろ向き(良くて現状維持)の姿勢
・地元の高校生や大学生の選手は甘やかしてばかりで使えなくてもなかなか切らない
・リスクを嫌う(動かないことが正義だと思っている)
・FAで選手を獲ることもしない
・選手を獲るスカウトもやる気がない(良い選手を発掘しない)
イエスマンであるマスコミが盛り上げるから球場にファンは入り、収入は多い。でも負けてばかりで順位が低いから選手の年俸(支出)は少ない。だから利益が多い。
中日ドラゴンズのフロント(球団経営陣)からすると、このような「おいしい状況」になっているのです。
だからフロント(球団経営陣)からすると強くさせる動機がなく、余計にやる気がなくなります。後ろ向きの姿勢なので、いくらファンがクレームを入れても前向きになることがありません。だから補強にも動かず、ずっと弱いままです。
そしてフロント(球団経営陣)のやる気のなさは選手にも行き届いています。
現場の監督・コーチや選手自身にもやる気のなさが浸透していて、チーム全体の組織文化にも反映されています。
確かに試合前などに声出しはしていますし、勝っているときは良い雰囲気になれるものの、負けているときや、相手チームの投手がエースや苦手投手のときだと内心では「あぁ、今日は勝てないや」と思っているような単調なプレーが目立ちます。打てないと投手も緊張感が切れてしまい、どこかで雑な投球になってしまいます。
ちなみに、ファンが多く入っているのは応援団や企業の福利厚生など、球場に行きやすい人が多いからです。心の中では「どうせ今年もBクラスだろう」という思いがあるファンも多く、フロント(球団経営陣)に怒りを示しているか、呆れているかのどちらかというのがほとんどです。
これが中日ドラゴンズの現状です。
中日ドラゴンズが強くなるには
中日ドラゴンズが強くなるためにはどうすればいいでしょうか?
まず、阪神タイガースを暗黒時代(1990年代)から抜け出すことに成功した星野仙一監督など、カリスマ的な監督を呼ぶことが挙げられます。
しかし、球団OBでそのようなカリスマ性がある人はいません。
2000年代の黄金期を築いた落合博満監督を再登板させることも、球団の派閥争いによって妨害されるためできません。
では、良い選手を獲得すればいいかというと、それもできません。リスクを避けたがる風潮であるため、ドラフトでは他球団と競合してでも良い選手を獲ることよりも地元の選手を優先しますし、FAで良い選手を獲得することもありません。選手を発掘するスカウトもフロント(球団経営陣)が気に入るような選手しか発掘しません。だからなかなか良い選手がチームに入らないのです。
仮に良い選手が入ってきても、1人では球団やチーム全体、個々の選手に染み付いている「やる気のなさ」は振り落とせません。
他球団がファン獲得のために行っている魅力的な取り組みも、昔からの伝統を優先して新しいものを拒むのでやりません。後ろ向きの姿勢で、外からの風を入れたがらないので、こういう前向きで魅力的な活動は頑なにやりたがりません(やってしまうと昔からの伝統や今までのやり方を否定することになるので、意地でもやりません)。
結局のところ、フロント(球団経営陣)を外部からの人に総取り替えし、派閥もなくすことしか方法がないのです。早いところが身売りです。
TBSが横浜ベイスターズをDeNAに身売りしてから横浜ベイスターズが強くなったように、身売りしてフロント(経営陣)を0から作り替えない限り、中日ドラゴンズが強くなることはありません。
新たなフロント(経営陣)が前向きな姿勢を見せ、やる気を見せることができれば、監督・コーチや選手も心の底からやる気になります。そうするとチームの組織文化も前向きでやる気のあるものになるので、単調なプレーが減り、勝ち星が増えます。そうすればAクラスに入れます。
しかし、今のフロント(経営陣)を見ている限り、それは夢のまた夢でしょう。
コンサル先の企業も同じ
さて、ここまで長々と中日ドラゴンズの例をお送りしてきましたが、ここからは実際の企業に当てはめて見ていきましょう。
言いたいことはたった一つです。
社長(トップ)がやる気なしなら、現場のやる気も起こりません。トップが腐っていれば現場も腐ります。
現場のコンサルティングの場合、いくら現場にメスを入れてもトップがやる気なしなら根本的には変わりません。
確かに、現場の軽い課題の1つ、2つは現場のコンサルティングをするだけでも解決します。しかし、組織文化に染み付いているような課題を解決するためには、トップからアプローチする必要があります。
トップがやる気なしの企業は、トップのやる気のなさが現場にも伝わり組織文化としてやる気のなさが染み付いています。だからなかなか変えることができません。外部から少し風を入れただけでは焼け石に水です。何も変わりませんし、むしろその外部から来た人がいじめられて会社を去るだけでしょう。
現場を変えたいなら、トップがやる気になる必要があります。前向きになっているのは当たり前で、積極的に取り組んでいく姿勢を見せる必要があります。
中日ドラゴンズのように身売り(M&A)しないと変わらないほどなら話は変わりますが、普通の会社なら社長がやる気にさえなれば現場は変わります。
社長をやる気にさせるには
では、社長をやる気にするにはどうすればいいでしょうか?
ほめてモチベーションを上げること(外発的動機づけを高めること)、伴走支援で社長の内発的動機づけを高めることなど、やり方はいろいろあります。
カウンセラーのように、やる気のない社長に寄り添って話を聞くだけでも有効です。カタルシス効果(話を聞いてもらってスッキリする心理)が起きて内発的動機づけが高まります。
中日ドラゴンズほど複雑で難しいことではないと思えれば、支援者側としてもやる気になると思います。
現場の組織文化から改善をする必要がある場合は、まずは社長をやる気にすることから考えてみてはいかがでしょうか?
今回は中日ドラゴンズが弱い理由をもとに、現場が弱いのはトップにやる気がないためであることについて見ていきました。
今回もありがとうございました。