みなさん、こんにちは。
今回は特に初対面の際に役立つコミュニケーションをご紹介します。
具体的には、シャイな人など、初対面の相手の緊張を取る方法について見ていきます。
それでは、よろしくお願いします。
なぜあの人には話しかけてくるの?
診断士として参加するイベントや懇親会には、シャイな方(人見知りの方)もいらっしゃいます。そういう方はなかなか他の人には話しかけることができません。
しかし、そういう普段話してこないシャイな方も、なぜか特定の人には話しかけてくることがあります。
もちろん事前にある程度関係性がある人ならわかりますが、そうではない初対面の場面でも、特定の人には話しかけてくれることがあります。
その「特定の人」と「そうでない人」は何が異なるのでしょうか?
それが今回見ていく内容です。

「特定の人」は緊張感をほぐすのがうまい
シャイな方でも初対面の場面で話しかけやすい人は、そのシャイな方に無理のない範囲で話をふります。
シャイな方は自分が話に入っていけないことを気にしています。だからこそ、「特定の人」はそういう人に話をふって当事者意識をもたせることで、話についていけない、蚊帳の外になってしまうことを防いでいきます。それに回答することで、話しかけるハードルを低くしています。
司会能力がうまい人(ファシリテーター)はこういう工夫をしていて、置いてきぼりになりそうな人(なっていそうな人)に話をふります。
そして、話をふって回答を聴いている間は口を挟みませんし、口角や眉が上がっています。回答が終わってからシャイな方に対して話す内容もポジティブで楽しいものになっていますし、口角や眉が上がっているので、シャイな方からするとネガティブな反応はしてこないと思い、安心感が出てその後も話しかけやすくなります。
メラビアンの法則ってありますよね。「コミュニケーションにおいて、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で相手に影響を与える」という心理学上の法則です。簡単に言うと、言葉の内容よりも、話し方のトーンや表情、ジェスチャーといった非言語的な情報のほうが相手に与える印象に大きな影響を与えるというものです。
「特定の人」は相手の話を聴くときに、この55%の視覚情報を活かすことにより、シャイな方の緊張感をほぐしているのです。
アイスブレイクがうまい
コミュニケーションの本で「アイスブレイク」というのをよく見ますよね。円滑なコミュニケーションを図るためには欠かせないもので、特に初対面の際に力を発揮します。
アイスブレイクがうまくできると、心の距離を縮めることができます。
アイスブレイクの代表例が共通項を見出してその内容を話すことだと思います。
僕なら相手の地元トークですね。どんな方にも「地元」はあります。「現在の居住地=地元」の人も、地元には変わりありません。そのときに地元トークをすると相手の共通項が見出せるので、ここで心理的な距離が縮まります。

どこの地方の話もお任せあれ!
これは心理学では「類似性の法則」と呼ばれているもので、「人は自分と似た人に親近感を持ちやすい傾向がある」というものです。共通の趣味、出身地、価値観などがあると、「この人は自分と似ている」と感じることで、相手の考えや行動を予測しやすくなり、安心感が生まれます。そして会話のきっかけが生まれやすくなり、心の距離が縮まってコミュニケーションのハードルを下げる、信頼関係が生まれやすくなるという効果があります。
シャイな方が話しかけやすい「特定の人」はこのアイスブレイクの使い方がうまいのです。
類似性の法則は自己肯定感との関連もあります。
共通点がある相手と接すると、自分の価値観や生き方が肯定されたように感じることがあります。
例えば、好きな映画が同じだった場合、「自分の好みは理解されるものだ」と無意識に安心します。そしてこれは自己肯定感の向上にもつながるため、相手に対して好感を持ちやすくなります。
知覚的防衛(心のコップが下を向く)
実はメラビアンの法則や類似性の法則以外にも心理学的に知っておいたほうがいいものがあります。
それが「知覚的防衛」というものです。ほめ達の世界では「心のコップ」と表現されます。
知覚的防衛とは、心理学で言われる「選択的知覚」の一種で、自分にとって脅威的、不快、または価値がないと判断する情報を無意識的に排除、あるいは歪めて知覚する現象のことです。つまり、自分にとって都合の良い情報だけを選んで認識し、そうでない情報を無視したり、歪めて解釈したりする防御反応です。
シャイな方は話についていけない、蚊帳の外になっていると判断すると、「閉店ガラガラ」のように心を閉ざしてしまいます。これはほめ達の世界では「心のコップが下を向く」と表現します。
そうなるとこちらに警戒心を抱いているため、いくら伝えてもこちらの話が頭に入ってこない、話を頭に入れようとしない(聞いているようで聞いていない状態)ようになり、ますます孤立します。
また、相手にはこちらの言葉が届かないため、ほめても相手のモチベーションが上がりません。
心のコップが下を向いていると、拒絶の意思を示しているため、正しいことを伝えても相手には響きません。これは部下や後輩からの人望がない上司や先輩がやりがちなことです。
説教などの際にいくら良いことを言っていても、相手は聞いているようで聞いていない状態になっているため、全く響きません。

一方、シャイな方も話しかけることができる「特定の人」は、心のコップを上に向けることがうまいです。シャイな方は心のコップが下に向きやすい特徴がありますが、先ほど見たように、うまく話しかけたり、アイスブレイクで共通項を見つけ出したり、聴いているときは口角や眉を上げたりすることで、相手の警戒心を解いて心のコップを上に向かせることができます。
下を向いているとほめても効果がありませんが、下を向かせる前に上に向かせることができます。だからほめてモチベーションを上げることができますし、親近感をもちやすくなります。
今回はシャイな方でも話しかけやすい人について見ていきました。
こういう人は人望がある人になりやすく、頼られやすいため、人脈・ネットワークや仕事の獲得にもつながりやすくなります。
活躍する診断士には必要なことなので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
今回もありがとうございました。