無理やりなポジティブ①

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みなさん、こんにちは。

プロ野球との付き合い方(今回の「四国プロ野球意識改革合宿」におけるテーマ)において厄介になるのが、無理やりポジティブな言い方をするファンやマスコミです。

例えば贔屓チームが大差で負けていても「よし、ここからだぞ」とか「最後まで応援するのがファンだろ?」と言っている人っていませんか?
また、同じく大差で負けたときでも翌日の報道ではポジティブな場面だけ映像で出して、「なお試合は負けました」みたいな言い方をしていることってありませんか?

今回と次回はこのようなファンの心理について見ていきます。なお、マスコミについては次々回で見ていきます。

それでは、今回もよろしくお願いします。

今回のサムネ画像は、良く言えば古い車両が現役で使われている「動く鉄道博物館」、悪く言えば京急のボロが老体に鞭を打っている、となる「ことでん」の車両です。

見苦しいポジティブの押し付け

先ほども述べましたように、例えば贔屓チームが大差で負けていても「よし、ここからだぞ」とか「最後まで応援するのがファンだろ?」と言っている人っていると思います。
確かに、どんな劣勢でもポジティブに捉えることや諦めないことは重要です。個人の解釈としてそれをするのはいいと思います
しかし、果たしてそれを他人に強要することはファンとして正しいのでしょうか

これはファンの間でもときどき議論になる内容ですね。

僕の意見としては、それはNGです都合の悪い部分は無視して都合の良い部分やポジティブな考えを個人的にもつことは良いと思います。リフレーミングの1つですからね。個人ならいいです

しかしその解釈を他人に押し付けたり、強要したり、それじゃないといけない空気を作るのはダメだと思います。ほめ達でもそのようなことをしているようではまだまだです

まず、「素直」にならずに都合の良いところを見ることやポジティブな解釈をすることは、三大態度で言う「ポジティブ、楽しい」ではありません

また、他人に自分の考えを押し付けること自体、「謙虚」ではありませんよね
中にはそのような無理なりなポジティブ解釈を見苦しいと思う人もいて、その人の価値観や意見を尊重する必要があると思います。

「素直」は次点の三大態度、「尊重」は謙虚の前提スキルの「相手への敬意など」の1つでしたね

ほめ達では確かにネガティブなことでも「これは何のチャンスか」を考えてポジティブな側面に注目し、ポジティブな言い方を心がけるようにしています。
しかし、それは「都合の良い解釈をしてそれを他人に押し付けること」ではありません。都合の悪い部分にも目を向け、そこはきちんと受け取る必要があります。また、それが「次点の三大態度」にもあった「素直」でもあります。

無理やりポジティブな解釈をしたがる理由

では、一部の野球ファンが見苦しいほどのポジティブな解釈をしたがるのはなぜでしょうか?

野球ファンが「自分の贔屓チームに都合のいい解釈をしたがる」ことは、単なる「ひいき目」ではなく、心理学的なメカニズムに基づく自然な行動です。
以下のような理論と心理的要因が関係しています。

認知的不協和理論

企業経営理論でもマーケティングのところで出てきましたね。
フェスティンガーという人が提唱した理論で、人は自分の信念や価値観と矛盾する現実に直面すると不快な心理状態(=認知的不協和)を感じ、それを解消するために情報を歪めたり都合よく解釈したりするという理論です。

野球ファンなら、「ウチのチームは本当は勝てたのに、審判の誤審で負けた」とか「今年は怪我人が多いから仕方ない。フルメンバーなら勝てた」とかですね。
これらは、「自分の好きなチームは弱い」という現実を受け入れたくないために、原因を外部に求めて不協和を解消している行動です。

自己評価維持のためのバイアス

これは特別な理論ではないのですが、心理的に人は自分や自分が関係するもの(贔屓チームなど)をポジティブに捉える傾向があります。これは自己評価や自尊心を守るための防衛機制です。

野球ファンなら、勝ったときは「選手の実力が出た、監督の名采配だ」と言い、負けたときは「相手がすごすぎ、監督の采配のせいで負けた」などと言うバイアスです。

内集団バイアス

自己同一性のところでも見た「内集団」というやつです。人は自分の属する集団(=内集団)を、他の集団(=外集団)よりも良く見積もる傾向があります

野球ファンなら、「ウチの若手は将来性がある!他球団の若手よりレベルが高い」とか「サイン盗みは他球団がやるとイカサマ。ウチがやると戦略」というものです。

これは、自分の贔屓チームを「自分の一部(=社会的アイデンティティ)」として感じているからです。チームを肯定することが、自分自身の肯定につながるのです。

先ほどのサイン盗みのようなことが起きると、野球ファンの間で議論になりますが、擁護派、否定派はこのような社会的アイデンティティで決まります。

確証バイアス

これもチラッとだけ企業経営理論に出てきたものです。人は自分の信じたいことに合致する情報だけを集め、反する情報を無視・軽視する傾向があります。経営情報システムでやったエコーチェンバー現象とも言えます。

野球ファンなら、「あの選手は最近3試合打っているから、やっぱり成長してる」と考えることです。でも実はその前の10試合はノーヒットだったことは無視しています。

これは「贔屓チームや選手はすごい」という信念を強化するために、都合の良い情報だけを取り入れている現象です。

希望的観測

無理やりなポジティブで思い浮かぶのはこちらではないでしょうか。内容としては、「自分がそうなってほしいと願う未来」を、現実よりも高く評価してしまう傾向です。

野球ファンなら、「今年の補強は完璧だから、10点差がついているけど絶対に逆転できる」とか「首位と5ゲーム差?全然いける!こっから連勝すれば余裕!」ですね。

これは、ファンであるがゆえに希望が認識を歪めている状態です。

今回はここまでにします。

次回はそういう無理やりなポジティブ解釈を他人に強要する理由について見ていきます。

今回もありがとうございました。