みなさん、こんにちは。
今回は「他人を落とすほめ方」について見ていきます。
半分は前回の「パレート最適になってはいけない」の復習です。
それでは、今回もよろしくお願いします。
結論
まず結論を言うと、他人を落とすほめ方には間接的なやり方と直接的なやり方があり、どちらもほめ方としては正しいものではありません。
間接的なやり方は、前回の「パレート最適になってはいけない」というものです。
直接的なやり方は、「あいつはできていないからダメだけど、それに比べたらお前はすごいよ」みたいなものです。
間接的なやり方(パレート最適はNG)
これは前回のパレート最適のやつです。
例えば特定の一人を成績が良かったからほめたとすると、そこにいた他の人は「自分は成績が良くなかったんだ」と思ってしまい、不満や自信をなくすことにつながってしまうというものですね。
ある人に対してほめたけど、その場にいた他の人が「なぜ私にはほめてくれないの?」とか「あの人はいいけど、俺はダメということか」と思われてしまうのは、正しいほめ方ではありません。
ほめることでその相手は得をして、他の人が損をしてしまう状態ですね。こういうのは避けないといけません。
しかし、意識して気をつけるようにしないと、ほめたときにこういう事態になってしまうのです。
前回はほめ達認定講師養成講座の講師である、ほめ達協会の西村理事長のやり方をお伝えしましたが、今回は診断士の方ならピンと来やすい例でお伝えします。
設定は全く架空です。あくまでわかりやすくするためのフィクションです。
仮に診断士の2次試験の教材を作成するとします。これは毎年作成していて、メンバーは1事例に複数人いて、毎年メンバーをシャッフルしたとします。例えば前年度は事例Ⅳの担当だったけど、今年は事例Ⅱの担当になる。一緒の事例のメンバーも前年とは異なるという形です。
また、何人かは新人診断士が入る、既存メンバーがやめるという入れ替わりがあるとします。
このとき、今年度の教材を制作する際に、リーダーがこのようなほめ方をしたらどう思いますか?
前年度版の事例Ⅰが参考になると思います。
事例Ⅰをベースに執筆して頂ければと思います。理由は以下のとおりです。
①各項目の文章の分量のバランスがいい。
②読者、受験生の視点に立った解説になっている。
③問題文、設問文の引用が適切。
さて、これを聞いて、メンバーはどう思うでしょうか?
そりゃ、前年度で事例Ⅰを担当したメンバーは嬉しいですよね。リーダーからほめられたわけですから。
しかし、前年度で事例Ⅰ以外を担当したメンバー(強いて言うなら事例Ⅳは計算事例で性質が異なるから除いて事例Ⅱ・Ⅲのメンバー)はどう思うでしょうか?
なんかモヤっとしませんか?
「え?それって俺が作った事例はダメだった、悪かったってこと?」
と思われても仕方がないですよね。

人間は何か仕事や作業をしたとき、自分の努力やプロセス(過程)を認めてくれないと、メンバーとして認めてくれていないように思えてしまい、自己肯定感が下がってしまうのです。
つまり、かえって内発的動機づけを下げてしまうことになります。
確かに、リーダーはほめた理由も提示していて、その内容も妥当なものです。
また、教材制作の参考にしてより良い教材を作ってほしいという趣旨でこれを述べたこともわかります。
しかし、なんか引っかかるんですよね。
仕事のクオリティのためとは言え、もう少し良いほめ方はなかったのか、ほめ方を工夫できなかったのかと思ってしまいます。
例えば事例Ⅱ〜Ⅳについても、「ここが良かった。でもここは惜しい」など、ほめ方を工夫してほめることはできたはずです。
これだと前回の西村理事長が「水村さんの資料が一番良かったです」と言ってしまうようなものです。
それを言ってしまうと他の人からすると「自分の資料はダメだった」という印象になってしまいます。
これではモヤっとする、悔しがってしまう人が出てしまいます。
このように、自分としては特定の人をほめているつもりが、間接的に他の人を下げて不快にさせてしまう事態になってしまうことがよくあるのです。
このリーダーも、確かに「事例Ⅰを参考にしていただければ」と言っただけで、別に「事例Ⅰ以外を作成したお前らはダメだ」と言っているわけではありません。仮に本当に思っていたとしても絶対に言わないでしょう。
しかし、「事例Ⅰを参考にしていただければ」と言ってしまうと、そう言っていなくても他の人が「事例Ⅰ以外はダメだったんだ」と受け取ってしまうのです。
他の人からすると、直接的に言われたわけではないけど、間接的に言われたようになってしまいます。
特定の人を上げるほめ方は、間接的に他の人を下げるものになってしまいます。このほめ方は正しいほめ方ではありません。
ほめることに関しては、パレート最適ではいけないのです。
この発表の例のように、「誰かが良い」というほめ方をしてしまうと、「他の人はそうではない=劣っている」となってしまいます。
このような他人との相対的な比較を感じさせるようなほめ方はほめ達では推奨されていません。
しかし、何度も言いますが、このようなほめ方になってしまうことがよくあるのです。
直接的なやり方(直接下げは当然NG)
これはイメージがしやすいと思います。パレート最適とか内発的動機づけとか、そんな難しそうな概念は全くありません。
例えば資料作成について上司が部下をほめるとき、こんなほめ方をしていませんか?
前の担当者は全くできなくて大変だったけど、お前はスラスラできてすごいよ
これは一見すると良いほめ方に見えますが、「前の担当者は全くできなくて大変だったけど」が余計です。
相手をほめるにあたって他人を落としています。
仮に「前の担当者」がほめた相手の横にいる人だったらどうでしょう?
上司だけでなく、ほめた相手への憎悪も出てきて職場が修羅場になってしまいます。
退職者や異動した人でこの場にはいない人だったとしても、特定の相手を下げるほめ方をやると、ほめられた側は「別の場面で自分もこうやって下げられているのでは?」と警戒してしまいます。
このような、他人を落とすほめ方は正しいほめ方ではありません。
先ほどの2次試験の教材の例でいってみましょう。
仮にリーダーが「事例Ⅱ〜Ⅳはわかりにくいところがあってダメですが、事例Ⅰはわかりやすいので、事例Ⅰを参考にしていただけたらと思います」なんて言ったらどうでしょう?
事例Ⅱ〜Ⅳの部分を作ったメンバーはブチギレると思います。「二度とこのリーダーとは仕事をしたくない」と思い、やめる人が続出するでしょう。
もちろんそんなことになればこのリーダーにも謙虚さのカケラもないので、リーダー失格です。人望もなくなり、仕事もやがてなくなるでしょう。
先ほどの間接的な言い方の場合はまだ「事例Ⅰ以外を作成したお前らはダメだ」と言っているわけではありません。
しかし、直接的な言い方だと「事例Ⅰ以外を作成したお前らはダメだ」とハッキリ言っていることになるわけですから、リーダーへの不信感を抱くのは間違いありません。
いやいや、こんなほめ方をするバカはいないでしょ?
と思うかもしれませんが、実は上司や先輩、リーダーなどは無意識にこういうほめ方をしているときがあります。
ほめた本人には他人(前の担当者や事例Ⅱ〜Ⅳの制作者)を下げる、侮辱する意図はないのだと思います。しかし、相手からすると侮辱されたことになります。うっかり口が滑ったでは済まされません。
誰かを落とさない
直接的に誰かを落とすことはもちろん、誰かがほめられたときに他の人が間接的に落とされたようなほめ方は、正しいほめ方ではありません。
他人が割を食うことがなく全員がポジティブに思うようなほめ方こそが、ほめ達のスキルの高い人ができるやり方です。
正しいほめ方については前回の記事の最後にありますので、よろしければ参考にしていただけたらと思います。
《今日のほめフレーズ》
教えてください!
今回は他人を下げるほめ方はNGということについて見ていきました。
直接的なのはもちろん、間接的にもやってはいけないほめ方です。
今回もありがとうございました。