みなさん、こんにちは。
今回も前回に引き続き、メディアリテラシーについて見ていきます。マスコミによるニュースの特徴の続きです。
それでは、今回もよろしくお願いします。
信憑性がありそうで実は全くない言葉を使う
政治や野球の記事でよく見るものとして、「ある関係者が言っていた」とか「●●という声がある」がありますよね。これはメディアには「取材源の秘匿」というルールがあるためのものですが、これを悪用することで信憑性があるように見せつけることができ、設定した結論・意見への誘導が効果的にできることから、記事を書くときに重宝されます。
しかし、本当は信憑性がありません。「関係者って具体的に誰ですか?」とか「声って誰が言っているんですか?」と聞いても「取材源の秘匿のため言えません」と回答できるので、実質的に操作し放題です。関係者や声が記者本人のものということもザラにあります。
「●●の可能性がある」という表現もよく使われますが、これも信憑性がありそうで全くありません。確率が完全な0でないなら(1ミクロンでも可能性があれば)使えるので、実質的に言いたい放題です。例えば「明日、地球が宇宙人に征服される可能性がある」でもいいわけですからね。
また、「●●と思われる」とか「●●とみられる」、「議論を呼びそうだ」などの表現も記者の感想であって事実ではありません。つまり信憑性はありません。「それってあなたの感想ですよね?」ってやつです。
これは記者の願望(新聞社やテレビ局の願望)でもあり、「●●と思われる」は「●●と思ってほしい」、「●●とみられる」は「●●とみてほしい」、「議論を呼びそうだ」は「もっと騒いで対象を攻撃してほしい」と翻訳できます。
診断士なら、伝聞系や推定系のことは必ず反応できるようにしましょう。そしてその真偽について自分でも調べましょう。確たる裏付けとなる事実の提示がない結論や意見に揺さぶられないようにしましょう!
論理より感情が大事
ニュースは論理的な正しさよりも感情面を優先して記事が作られます。ワイドショーにいたっては感情面100%です。

ワイドショーは女性(主に主婦)の視聴者が多いためです。男性は論理面、女性は感情面を優先して解釈しやすい特徴があるので、感情面を刺激する報道をするのです
論理面より感情面を煽る例として、犯罪被害者や病気の患者など弱者団体の取り組みを取り上げやすいことが挙げられます。弱者の状況を取り上げると視聴者や読者から「かわいそう」と思ってもらいやすく、視聴率や売上につながりやすいです。そして視聴者や読者を感情的に揺さぶるために特定の「悪役」を作り出し、「かわいそう」とか「あの人許せない」という印象をもってもらうように記事の内容を調整します。
前回も述べましたが、政治家や芸能人の発言の「切り取り」が問題になることがあります。これも悪役に仕立てやすいからです。切り取った部分が繰り返し使われ、悪役のイメージを固定化させています(ついでに、記事にとって都合の悪い部分もカットできます)。
派手な見出しをつける
最近、ネットのニュースを見ていると、見出し(タイトル)に「超絶美人」とか「まさかの●●」というように、派手なフレーズが増えてきました。
これは出版社の編集長から直接聞いたことがありますが、新聞や雑誌、ネットの記事では見出しが売上や視聴・再生回数につながるそうです。テレビのニュースも見出しが視聴率につながります。先ほどの「感情」を煽ることで読者や視聴者を食いつかせます。
そのため、中には売上や視聴・再生回数目的で過剰な表現の見出しをつけたり、中身は全く異なるような見出しをつけたりすることもあり、見出しと共に中身も確認する必要があります。そうしないとミスリードされてしまいます。
近年はこたつ記事でもそういう派手な見出しが増えてるね
誰が原稿を書いたかわからない
これは意外に見落としがちなことですが、新聞の記事やテレビのニュースの原稿って誰が書いているか意識したことはありますか?
最近はこたつ記事もあり、外部のフリーの人や副業をしている人に記事の作成を依頼することもあるので、昔のように「新聞社内の文才がある人が書いている」とは限らなくなりました。
もちろん社説や一部を記事は原稿作成者が書かれていることもありますが、それ以外は誰が原稿を書いたかわからないものが多いです。こうすることで、記事の内容で問い合わせや批判が来てもうやむやにすることができます。 先ほどの「関係者って具体的に誰ですか?」や「声って誰が言っているんですか?」という問い合わせも、問い合わせ担当の人が「取材源の秘匿のため言えません」とテンプレ回答しているだけです。
本来、記事作成者がわからないニュースは信憑性がありません。誰が言っているかわからない情報など信じられませんよね? しかし、「●●新聞」や「●●テレビ」という新聞社やテレビ局の看板だけで信憑性をもたせているのです。
権威や肩書きが大好き
これは日本独特です。日本人はとにかく権威や肩書きが大好きです。弁護士や大学教授、東大卒の人が言ったことは疑わずに信じてしまう方も多くいます。
でもそれって本来ならおかしいですよね?
弁護士にマーケティングのことを語らせても専門外なので本来なら説得力はありません。
マーケティング専攻の大学教授を用意してもマーケティングのあらゆる分野に詳しいとは限りません。東大卒の人だからと言ってどの分野でも専門家レベルの知識があるわけではありません。
しかしその肩書きから説得力があるように見せつけられているのです。
また、テレビのニュースやワイドショーでも芸能人がコメンテーターとして出ていることがありますが、別に何かの専門家ではありませんよね。
今回もニュースの特徴についてみていきました。
次回はそんなニュースの特徴を踏まえ、診断士としてどうニュースを見ていけばいいかについてお送りします。
今回もありがとうございました。