みなさん、こんにちは。
今回はおじさんが言いそうなタイトルになっていますが、診断士としては意外に重要なことです。
それでは、よろしくお願いします。
合格者も若い人が増えている
中小企業診断士は、平成の頃は30代や40代が当たり前で、20代の合格者はかなり少なかったです。しかし、令和に入ってからは診断士も20代の合格者が増えてきました。すでに一部の診断士協会の会員(診断士)からは「今年の合格者は若い人が多いなぁ」という意見も耳にしています。今後、どんどん20代の合格者は増えていくでしょう。
この傾向は、診断士協会としては懸念点(デメリット)よりも効果(メリット)のほうが大きいと考えているのでしょう。若い観点の発想を入れることで組織活性化や新たな発見、高次学習を引き起こせますし、中高年の人よりも診断士として長く活躍できます。
しかし、現場としては意外と懸念点も目立ちます。ここからはその懸念点を見ていきます。
若いと周囲と感覚が合わないことをしてしまう
懸念点の1つ目がこちらです。
いくら20代の合格者が増えたとは言え、診断士は40代以上が多い世界です。普通の会社で言うなら新入社員がいきなり部長や役員クラスと対等に接しないといけないようなものです。
20代と40代以上では社会経験に歴然とした差がありますし、世の中をうまく渡っていく方法や人間関係の築き方、コミュニティでの過ごし方など、暗黙知的なものの習得レベルも大きな差があります。そのため、若い診断士はどうしても周囲の診断士と感覚が合わないことをしてしまいがちです。
もちろん、感覚が合わないことについて、多くの先輩が「若いんだからOKだよ」とか「どんどん若い空気を入れてくれ」など、歓迎することを言ってくれます。しかし、中にはその歓迎に乗って余計なトラブルを引き起こしてしまう若い診断士もいます。以前出したような「間違った積極性」を出しやすいのが、トラブルを引き起こしてしまう若い診断士の特徴です。
例えば新しく入ったばかりのコミュニティでいきなり提案をするとか、先輩に馴れ馴れしい態度を取ることは、間違った積極性です。
社会人には時と場合(状況)に応じて正しい距離感や心理的距離が異なります。例えば飲み会と勉強会では先輩が求めている距離感は異なります。しかし若い診断士だとそれを知らずにいつもと同じテンションで先輩と接してしまい、トラブルや先輩の不快感につながってしまうことがよくあります。
若いと勢いだけで突っ走ろうとする
懸念点の2つ目はこちらです。
ドラマでも若い研修医や刑事がベテランの医者や刑事の指示を無視して突っ走ってしまい、トラブルを起こしてしまうことってありますよね。これと同じようなことが診断士の業界でも起こり得ます。
例えば、若い診断士だと経営者の苦労を知らないことが多いです。そこに理想論を経営者にぶつけて押し通そうとする若い診断士がいたらいかがでしょう?そして、「いや、このやり方が正解です」など言ってこれを無理やり通そうとしたらいかがですか?
そうです。トラブルにつながりますよね。知らないからこそやってしまうことが、若い診断士だと多く発生してしまうのです。
ドラマなら若い研修医や刑事の熱意がベテラン陣に伝わり、トラブルが起きてもうまく調整してくれて最後にはハッピーエンドを迎えますが、これはドラマでシナリオがあるからです。
現実でトラブルを起こすと、先輩が調整はしてくれますが、それがうまくいってハッピーエンドになるとは限りません。
また、コンサルティングにしても執筆にしても、相手(クライアントや編集担当者)がいることですので、先ほどの理想論の押しつけのように、若い診断士の暴走で相手に迷惑がかかることや相手とのトラブルにつながってしまうこともあります。
若いと説得力がない
懸念点の3つ目はこちらです。これが若い診断士がぶち当たる最も高い壁だと思います。
中小企業経営・政策の白書部分で習ったと思いますが、経営者の平均年齢はどんどん上がっています。60代はもちろん、70代や80代の経営者もたくさんいます。
そういう経営者からすると、20代の診断士は息子・娘どころか孫のような位置付けです。それほど年齢が離れているのですから、20代の診断士は経営者から見たらバイトの学生みたいな扱いです。何か提案をしても「君はまだ若いから現実を知らないだけ」とか「経営者のことはわからないよね」と突っぱねられる可能性が高いです。
これは税理士の業界でもそうなのですが、士業は平均年齢が高い業界です。税理士は平均年齢が60歳を超えています。
そんな税理士の業界でも、20代はバイトの学生扱いです。30代で新入社員くらいの扱いです。40代で多少なら経営者の気持ちがわかるようになり、50代でようやく経営者と対等に話せます。60代なら「先生」です。
じゃあ若い診断士はどうすれば?
では、若い診断士はどう振る舞えばいいのでしょうか?40代くらいになるまではペーパー資格にしとけということでしょうか?
いえいえ、決してそんなことはありません。ただ、やり方を工夫する必要はあります。
①味方の先輩を確保する
自分のことを温かく見守ってくれる先輩を2〜3人味方につけましょう。1人では少ないです。この先輩が例えば別の信頼できる人を紹介してくれたり、若くても説得力が出るような講座・コミュニティを紹介してくれたりします。
味方というのは、応援してくれる、可愛がってくれることです。若い診断士は応援される、可愛がられることについてはどの世代よりも有利なので、この強みを活かしましょう。
②積極性の加減を意識して活動する
先ほども述べましたとおり、診断士は40代以上が多い世界なので、若い診断士からすると、普通の会社で言う新入社員がいきなり部長や役員クラスと対等に接しないといけないようなものです。もちろん若さゆえの積極的な行動が良いように作用することもありますが、暴走してトラブルにつながるリスクもあります。
以前も述べましたが、積極的すぎてもダメだし消極的すぎてもダメです。活躍する診断士は積極性の塩梅を見抜くこと(微妙なさじ加減)がうまいです。若いと暴走にならない程度なら積極性は歓迎されますので、「ちょっと積極性を出してみる」くらいの塩梅がちょうどいいと思います。
③コンサルは先輩と行う
特に20代の診断士は、経営者から見たらバイトの学生みたいな扱いです。「現実を知らないくせに」と突っぱねられる可能性が高いです。
そこで、コンサルを行う際は経験豊富なベテラン診断士と一緒にやりましょう。そういうベテラン診断士に「勉強のために今度コンサルの手伝いをさせてください、ご一緒させてください」と言えば、ノーと言われることは少ないと思います(仮にノーと言われても熱意と積極性は買ってくれるので今後に有利になります)。若い診断士はこのあたりのハードルが低いので、ぜひその強みを活かしましょう。
ここでベテラン診断士の手伝いをしておくことで、そのベテラン診断士のお墨付きや紹介をもらってコンサルに挑むことができるようになります。

「●●先生(ベテラン)の紹介の診断士ならいいですよ」と言ってくる社長も多いです
今回は若い診断士だからこその懸念点と対策をご紹介しました。
今回もありがとうございました。