みなさん、こんにちは。
前回は、自然災害による被災から鉄道路線を復旧するならBRTにするのがいいことについて述べていきました。
ですが、BRTはバスなので鉄道ほど観光客を呼べません。自治体はそのあたりを気にして鉄道での復旧を求めています。
では、BRTやバスへの転換はせず鉄道で復旧させるためにはどうすればいいでしょうか?
そのあたりの提言をしていきます。今回は全体の方向性(抽象的な内容)、次回は具体的な内容を見ていきます。
それでは、今回もよろしくお願いします。
「レトロ」では差別化はできない
最近のブームなのか、ノスタルジー、昭和レトロを売りにしている鉄道会社や路線がありますが、これだけでは限界があります。
なぜなら、この手のことはどの地方でもやっているからです。今回のサムネ画像の京都丹後鉄道もやっています。
確かにそれをやれば一時的には話題になるかもしれませんが、長期的には差別化につながりません。
「ここしかない」が重要
差別化を図るためには、「ここにしかない」を作ることが大事になってきます。
なので、先ほどの「レトロ」では差別化はできませんし、例えば海産物や農産物などの1次産業でも差別化はできません。
1次産業とは、自然界に働きかけて作物を生産したり採取したりする産業で、農業、林業、漁業が該当します。
例えば鉄道会社が「この鉄道の沿線では伊勢エビが食べられます!」といくら言っても、観光客からすると「そんなもの、日本でいくつかありますよ」というわけです。
もちろん、唯一無二の海産物や農産物があればいいですが、そんなものはありませんよね。市場の原理がありますから、唯一無二でやっていたらそれを真似するところが出てきます。ブルーオーシャンで儲けているところがあれば、他社が参入してきます。寡占にはできるかもしれませんが、独占はできません。
結局は、「ここしかない」というものを作る必要があります。それも物理的にマネができないものである必要があります。
例えば、徳島県にある安佐海岸鉄道では、日本どころか世界でも唯一の鉄道とバスの両方の機能がある車両を用意しています。これは「ここしかない」の典型例で、週末には多くの観光客が訪れています。

また、地元の風景は「ここにしかない」ものに該当します。桜島の山の景色なら、鹿児島にしかできません。北海道や東北には桜島はありません。

実は差別化は、「立地の良さ」でも可能です。以下にある小湊鉄道は、東京から最も近くにある「レトロが売りの鉄道会社」です。だからCMやドラマ撮影でもよく使われますし、バラエティ番組や観光ガイドでもよく取り上げられています。そのため、小湊鉄道は差別化ができていると言えます。

大きなことはできない
地域の中小鉄道会社も中小企業です。大企業しかできないような多額の投資をしたり、大人数で何かをしたりすることはできません。高次学習や破壊的イノベーションのような革命も起こせません。
小さなことでも、できることをしていくしかできません。それを積み重ねていくだけです。
なら思いついたことをひたすらやればいいというと、そうではありません。長期的な視点をもって、ステップ全体が見えていないと1つ1つの取り組みが空回り、自己満足になってしまいます。意外とこうなってしまっていることが多いのです。
中小企業は大きな策ができません。だからこそ、コンスタントに策を実行していく必要があるのです。
例えて言うなら、病気になったときに薬を飲みますが、あれは基本的には朝昼晩でコンスタントに飲みますよね。1回飲んで、忘れた頃にもう1回飲んで、では治るものも治りません。
盲点を突いても結局負ける
観光過疎地を観光地化する手もあります。どんなところにも観光要素があり、地元の人には当たり前すぎて気づいていないだけで、意外と盲点になっているエリアもあります。そこを観光地化できれば、「通過するところ」でなくすることができます。
しかし、これは相当ハードルが高いです。
「大きな変化」に該当しますし、地元民が実感できていない以上、地元民の協力が得られにくいです。また、仮に協力を得られたとしても知名度やブランドを1から築き上げていく必要があるため、結局は他の観光地に負けてしまいます。
100回やって1回成功すればいいくらいのレベルです。
地域の人の協力が必要
地域を活性化し、鉄道を廃線にしないためには、地域の人の協力が必要になります。
観光列車に乗ったことのある方ならお分かりかもしれませんが、停車駅で地元の人がホームで名産品を売っていたり、沿線から手を振っていたりしますよね。
このように、地域の人の協力が必要になります。そのためには、地域の人が自分から協力する気にならないといけません。「協力しろ」と無理やり指示してもすぐに辞めてしまいます。
地域の人が自分から協力してもらうためには、駅や沿線のあるべき姿に関心をもってもらう必要があります。
また、地域の人の鉄道存続に対する思いを考慮する必要があります。「鉄道なんかいらない」と思っている人では協力などしてくれません。観光列車が来たとき、駅のホームで名産品を売っている人や沿線から手を振っている人は、「この地域に鉄道が必要」と思っているからこそやっているのです。
鉄道会社や利用客(観光客含む)はもちろん、「鉄道が必要」と思っている人、地元の自治体、企業など、関わっている人みんなで鉄道を走らせることが、地域の鉄道を存続させるために必要になってきます。
沿線の住民(地域の人)、自治体、企業を巻き込まないと、鉄道会社単独では赤字のままです。自然災害で被災した段階で長期間の不通、もしくは廃線でのバス(BRT)代行となるでしょう。
そして、受け身・人ごとではなく、能動的に自分事として考え、「まちづくりのために活かす手段」として鉄道を考える必要があります。
しかし、その一方でホームで名産品を売っている人や沿線から手を振っている人、地元の自治体や企業の社員が鉄道を利用しているかと言うと、実はそうではありません。
以前も述べたように、地方はマイカーでの移動が当たり前なので、鉄道は利用しません。でも鉄道は残ってほしいと思っているのです。
赤字にさせないことが重要
地域の人は「鉄道は残したい、でも自分はなかなか利用しない」となると、なんだかんだで鉄道を残すための方向性は見えてきます。
つまり、地元住民が乗らなくても赤字にならず維持できるような鉄道にする必要がある、というわけです。

具体的には、観光客が頼みになります。そのため、近年は観光客頼みに切り替える路線(大井川鐵道など)がちらほら出てきています。
赤字にならないためには、補助金や助成金があるならそれをできるだけもらったほうがいいです。
しかし、それ頼みでは限界があります。なぜなら、毎年安定して受けられるものではないからです。自治体としてもお金は有限です。また、国も補助金や助成金を見直すタイミングがあります。
鉄道会社の赤字を減らす取り組みとして、車両の保有と運行のみを鉄道会社が行い、線路は地元自治体が保有する「上下分離方式」があります。最近はこれを採用する鉄道会社もあります。
しかし、これだと行政に莫大な費用がかかります。また、行政にいくらかの主導権を握らせることにもなるので、いろいろと経営に注文をつけられてしまいます。さらに、鉄道会社の赤字は減るが黒字までには至りません。
鉄道会社はもちろん、自治体の負担もなるべく減らさないといけません
鉄道は昔は貨物や地元の名産・資源を運ぶ手段でした。地方の中小鉄道会社も同じです。
しかし、今は役割が変わっています。貨物の役割は終えて、人を運ぶ手段となっています。ところが、今後は少子高齢化、人口減少がどんどん進むため、人を運ぶ手段としてどんどん弱くなっています。
それを解消し、黒字化を達成するためには、新たな「価値」を見出して、地元民以外で利用者を増やす必要があります。こうして赤字や地域失活化を防いでいきます。
今回はここまでにします。次回はもう少し具体的なものを見ていきます。
今回もありがとうございました。