地方公共交通機関のあるべき姿とは⑤

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みなさん、こんにちは。

今回は診断士の2次試験のような形で、地方の中小鉄道会社がどのように生き残ればいいかについて見ていきます。
それでは、今回もよろしくお願いします。

ターゲットを絞る

マーケティング戦略と言えば「誰に、何を、どのように」ですね。プラスで「効果」でしょうか。

まずはターゲット設定です。「誰に」ですね。
普通の中小企業と同じく、地方の中小鉄道会社もターゲットは絞ったほうがいいです。「子供からお年寄りまで」というのは無理です

例えば熊本と阿蘇を結んでいる観光列車は子連れ客にターゲットを絞っています。
「ななつ星」や「トワイライトエクスプレス瑞風」などのクルーズトレインは富裕層にターゲットを絞っています。

地域資源を活用する

次に、絞ったターゲットに対して「何を、どのように」を行います。

それが地域資源を活用する」と「非日常の体験をさせる」ということです。
しかも、他の地方では真似できないものか、真似はできても組み合わせることが難しいものがいいです

カギを握るのは6次産業化

地域資源の活用で、カギを握るのが6次産業です。

6次産業なんて、鉄道会社と関係ないように見えて、実は関係あります。

最近、鉄道会社も食品に参入してきているのをご存知ではないでしょうか?

例えば前回から何度も出ている銚子電鉄は、鉄道会社でありながら、食品事業としてぬれ煎餅や「まずい棒」などの看板商品を出しています。その食品の中には銚子の名産品(海産物や農産物)を使ったものもあります。
このように、地元の海産物や農産物を原材料にして生産・加工したものを売ることを、6次産業化と言います

1次産業とは、農業、林業、漁業など、自然界に働きかけて作物を生産したり採取したりする産業です。
2次産業は、製造業、建設業など、1次産業で生産された原材料を加工する産業です。
3次産業は、商業、サービス業など、2次産業に該当しない様々な産業です。

「6次産業化」とは、1次産業に従事する農林漁業者が、製造加工(2次産業)やサービス業販売(3次産業)にも取り組むことで、生産物の価値をさらに高め、所得の向上を目指す取り組みです

1×2×3=6次産業、というわけです。

強みと同じく、単体だと競合が多いものでも、組み合わせることで差別化ができます。

このやり方がうまいのが銚子電鉄で、例えば銚子のイワシの缶詰や、春キャベツを使った餃子などを駅の土産物屋で販売しています
こうすることで銚子に観光客を呼び込んでいるため、銚子電鉄だけでなく、銚子の企業にとっても恩恵があります

非日常の体験をさせる

地域資源を使って何をさせるかと言うと、非日常の体験です。

旅行の際の食事で、まさかマクドナルドや吉野家には行かないですよね。それはなぜかというと、非日常の体験をしたいからです。

例えば東京の人が銚子に観光に行ったとします。そのとき、やはり食べたいのは海産物ではないでしょうか?
確かに東京でも海産物は食べられます。ですが、やはり銚子に行ったら新鮮な海産物が味わえますよね。これが「非日常の体験」です。

気づきましたでしょうか?
海産物は銚子にとっては「地域資源」です
非日常の体験をする方法の1つが「地域資源の活用」なのです

もちろん、普段なら乗ることのない銚子電鉄に乗ることも非日常ですし、おもしろい駅を訪れることも非日常ですし、ぬれ煎餅などのお土産を買うことも非日常ですよね。

ポジティブで楽しくさせる

これらの非日常の体験って悲しくなりますか?イライラしますか?

そうはならないですよね。楽しいとか、ワクワクするとか、新鮮とか、ポジティブな感情だと思います

このように、非日常の体験ではその人(観光客など)がポジティブに楽しめることが必要になります

そして、この「ポジティブに楽しめる」は主観的な価値ですよね。
「感覚価値、観念価値」などが該当します。これらの主観的な価値を上げていくことが地方の中小鉄道会社には求められます

地元の人もポジティブで楽しめるように

観光客がポジティブで楽しい気持ちになることはそうですが、「鉄道を残したい」と思って駅のホームで名産品の販売をしたり、沿線から手を振ったりする地元の人はどうでしょうか?

こちらも、ポジティブで楽しい気持ちですよね

鉄道会社や自治体から「販売しろ!」とか「手を振れ!」のように強制されていたら、ネガティブな気持ちになりますよね。

結局は三大態度

「ポジティブ、楽しい」。どこかで見たことがありませんか?
そうですよね。このブログではお馴染みの「活躍する診断士に必要な三大態度」のうちの2つです。

残りの1つの「謙虚」についてはどうでしょうか?

地元の人が観光客に上から目線とか喧嘩腰ではいけませんよね。「来てくれてありがとう」と感謝の態度が出ていると、観光客も気持ちよく名産品を買えますし、手を振ってくれたら手を振り返すと思います

鉄道会社の人も三大態度が必要

これは結構、できていない鉄道会社が多いです。

鉄道会社は地方の中小鉄道会社も含めて昔からある会社が多いので、以前見たような「会計がいい加減」という特徴もありますが、「社員の態度が大きくなりがち」という特徴があります。

駅員や車掌がぶっきらぼうな対応をすることはよくあります。悪質なものでもないのに「黄色い線の内側に下がって!」と威嚇したり、切符の買い方がわからない人に対して「自動券売機でやるものなので」とバカにしたような言い方をしたりしています。

せっかくの楽しい旅も、帰りの電車で駅員に怒られたことで一気に台無しになってしまうこともあります。

この点、JRを含めた大手鉄道会社だと接客研修を受けるためある程度は接客態度が良くなるのですが、地方の中小鉄道会社だとそのような研修をしている余裕がないため、いまだに大きな態度の駅員や車掌は多いです

観光客や利用客からすると、ぶっきらぼうな対応をするのではなく、笑顔で対応したほうがいいですよね

最近は地方の中小鉄道会社でも観光列車を導入し、その乗員(アテンダント)には飛行機のCAやホテルマンなどの「接客のプロ」からの研修を受けさせています。その結果、どの鉄道会社でも観光列車の顧客満足度は高くなっています。

それを普段の駅員や車掌にも受けさせるほうがいいです。

鉄道の業界も「ポジティブ、楽しい、謙虚」の態度でいきたいものです
例えばほめる文化を取り入れることで、従業員の満足度を上げて離職率を下げることもできます。それだけでも、マナーのできていない人や大きな態度を取ってしまう人を会社に新たに入れてしまうリスクは下がります。

「誰に、何を、どのように」まで来たら「効果」も挙げておきます。
効果はもちろんLTV系の内容です。そのキーになるのが「感覚価値、観念価値」に代表されるような「主観的な価値」です。
これは診断士の2次試験の事例Ⅱでも定番ですね。

ネット戦略を駆使する

満足度を上げても、現地に行かないと何もできないでは困りますよね。せっかく上げた満足度も低下してしまいます。

そこで、定期的な接点を設けるために、普通の中小企業でもネット戦略(HP、SNSでの広告、ECサイトなど)を導入しています

中小企業でもこれが不十分なところがありますが、これは地方の中小鉄道会社でも同様です。区間と時刻表と運賃など最低限の情報しかないところもあります。
ネット戦略を充実することで商機を見出せる可能性があります

また、鉄道ファンでも観光客でも、その鉄道会社のファンにとってネット戦略は鉄道会社との関係性を構築・強化して長期継続顧客になれるものです

地域支援は、現地に行ってお金を落とすことがすべてではありません。ECサイトでの購入でもいいですし、SNSで口コミを広めることも地域支援です

今回はマーケティング戦略に基づいて地方の中小鉄道会社が生き残るためのやり方を考察していきました。

今回もありがとうございました。