みなさん、こんにちは。
前回の問題、解いていただけましたでしょうか?
今回は解答解説です。
それでは、今回もよろしくお願いします。
模範解答
※いずれも指定字数以内を意識した答案です。与件文の情報を優先し、実際の球団事情について新たな事実を付け加えずに解答しています。
第1問:強み・弱み(各40字以内)
強み
選手間や監督とのコミュニケーションが活発で、萎縮せず意見交換できること。
弱み
敗戦続きで危機感や規律が弱く、データ分析・スポーツ医学の設備と知見も不足していること。
第2問:地元放送局の若狭アナウンサーが批判した理由(100字以内)
長年の低迷でファンの不満が蓄積する中、最終戦のファンへの挨拶で一部選手がガムを噛んだり談笑したりする態度を見せたため。ファンへの感謝やリスペクトを欠くプロとして恥ずかしい行為であり、地元メディアとして看過できなかったため。
第3問:「腐ったみかん」の問題点と改善策(各60字以内)
問題点
一部選手の緊張感のない態度や甘い意識が他の選手にも広がり、規律や向上心を損ねファンの不満を増大させていること。
改善策
問題行動を繰り返す選手には、戦力外通告やトレード、配置転換を検討し、組織の新陳代謝を促して甘い意識を軽減する。
第4問:緊張感のない組織文化を改善する施策(100字以内)
選手が萎縮しないよう積極的にコミュニケーションを取りつつ、練習態度やファンへの対応などの行動基準を明確にする。定期面談で改善を促し、良い行動を評価・称賛するとともに、基準に反する行動には立場を問わず指導し、規律と緊張感を取り戻す。
第5問:次の10年間に向けた強固なチームづくり(100字以内)
他球団に比べて不足している選手データ収集機器を導入し、スポーツ医学の専門知識を持つ外部機関と連携する。選手の能力や故障リスクを分析し、育成や起用、走塁・状況判断の改善に活用することで、緻密な野球を取り戻し、継続的な戦力強化を図る。
解説
設問別の解説です
第1問:強み・弱み
強み
選手間や監督とのコミュニケーションが活発で、萎縮せず意見交換できること。
弱み
敗戦続きで危機感や規律が弱く、データ分析・スポーツ医学の設備と知見も不足していること。
強みは「これが強みです!」という書き方をしていないため、一見すると見つけにくいですが、冷静になって読むと見つかります。与件文からそのまま抜いてきてもいいですが、単に「コミュニケーションが活発」だけではなく、立浪監督時代の萎縮が解消されたことを背景として捉えています。
逆に弱みはすぐに見つかる要素が多いものの、量が多いためそのまま書くことができないようになっています。
与件文では、次の3点が弱みとして読み取れます。
- 組織面:負け犬根性、危機感や緊張感の不足
- 人材面:野球脳や状況判断への意識の低さ
- 経営資源面:データ収集機材、スポーツ医学の知見の不足
40字ではすべてを十分に説明するのは難しいです、今回は、第3・4問で組織面、第5問で経営資源面を扱うため、第1問では組織の規律と経営資源の不足を書くことになります。
第2問:地元放送局の若狭アナウンサーが批判した理由
長年の低迷でファンの不満が蓄積する中、最終戦のファンへの挨拶で一部選手がガムを噛んだり談笑したりする態度を見せたため。ファンへの感謝やリスペクトを欠くプロとして恥ずかしい行為であり、地元メディアとして看過できなかったため。
与件文から活用した表現
- 「長年の低迷」
- 「ガムを噛んだり談笑したり」
- 「ファンへの感謝やリスペクト」
- 「プロとして恥ずかしい行為」
設問は「なぜ地元放送局が批判するのか」なので、選手の態度だけでなく、地元メディアとして看過できなかったという理由を補っています。
今回の答案では、若狭アナウンサーが実際にどのような意図を持っていたかは与件文から推測できる範囲にとどめています。地元メディアだからこそ、地元球団を応援する立場から、あえて厳しい意見を伝える意義がある、と整理しました。
第3問:「腐ったみかん」の問題と、ファンの不満を減らす対策
問題
一部選手の緊張感のない態度や甘い意識が他の選手にも広がり、規律や向上心を損ない、ファンの不満を増大させている。
改善策
問題行動を繰り返す選手には、戦力外通告やトレード、配置転換を検討し、組織の新陳代謝を促して甘い意識を軽減する。
与件文から活用した表現
- 「一部選手の態度が他の選手にも広がる」
- 「ファンの不満」
- 「戦力外通告」「トレード」
この問題では、与件文にある「態度や意識が周囲に広がる」という因果関係を押さえることが重要です。
改善策のポイントは、戦力外通告やトレードを最初から主たる策にするわけではないということです。これは少しリスクがあると思います。なぜなら、与件文には、一部選手の態度や意識が問題になっているとある一方で、誰が具体的にどのような影響を与えたか、改善指導を受けたかまでは十分に示されていないからです。
そして切り分けです。対策は第4問と重複しないよう、選手の入れ替えや配置の見直しに絞っています。
出題者の意図として、急に見知らぬ用語が設問文に出てきたときに対応できる能力を試すことがありました。
第4問:与件文から活用した表現
選手が萎縮しないよう積極的にコミュニケーションを取りつつ、練習態度やファンへの対応などの行動基準を明確にする。定期面談で改善を促し、良い行動を評価・称賛するとともに、基準に反する行動には立場を問わず指導し、規律と緊張感を取り戻す。
与件文から活用した表現
- 「選手とのコミュニケーション」
- 「選手が萎縮しない」
- 「積極的に叱責しない」
- 「緩んだ雰囲気」「緊張感」
ここは、前任監督のような強権的なやり方に戻すのではなく、現監督の良さであるコミュニケーションを生かしながら、必要な指導を行う構成にしました。
立浪監督時代の強権的な方針で選手が萎縮したという与件文を踏まえると、単に厳しく管理するだけでは不十分です。井上監督時代に生まれたコミュニケーションの活発さを維持しながら、必要な指導と規律を両立させることがポイントになっていきます。つまり、厳しさか優しさかという二者択一ではなく、心理的な萎縮を生まない指導と、行動に対する明確な責任を両立するという考え方です。
なお、「行動基準」「定期面談」「評価・称賛」は与件文にそのまま書かれているわけではないため、理論で補っています。
そして高得点を狙いたい場合は、施策の名称を並べるだけでなく、誰に対して、何を行い、どのような効果を狙うかを明確にするといいです。
- 何をするか:行動基準の明示、面談、評価、指導、称賛
- 誰に対してか:全選手、立場を問わず
- どうするか:改善度を起用や役割に反映
- 目的:規律と主体性の向上
第5問:球団フロントとして、今後10年にわたって強いチームをつくる施策
他球団に比べて不足している選手データ収集機器を導入し、スポーツ医学の専門知識を持つ外部機関と連携する。選手の能力や故障リスクを分析し、育成や起用、走塁・状況判断の改善に活用することで、緻密な野球を取り戻し、継続的な戦力強化を図る。
与件文から活用した表現
- 「選手データ収集機器」
- 「スポーツ医学の専門知識」
- 「外部の専門機関」
- 「走塁」「相手投手を読む」
- 「今後10年にわたって強いチーム」
第5問は、与件文にある設備・知識の不足をそのまま課題として拾い、導入後にどう活用するかを補っています。
「外部の専門機関との連携」「機材への投資」「スポーツ医学の知見の収集」は、与件文の制約を解消する施策として適切ですが、「専門機関と連携する」だけでは、連携自体が目的になってしまいます。
そこで、次の流れを意識しました。
経営資源の補完 → データ分析・医学的知見の活用 → 育成・起用・戦術の改善 → 継続的な競争力の強化
与件文の「1点を取り、その1点を守る緻密な野球」という過去の強みも、ここで活かせます、
また、次の10年間という長期的な依頼なので、単年度の成績向上だけでなく、育成や起用に分析結果を継続して反映し、改善を積み重ねることまで書くと、設問要求に合いやすいです。
切り分けでミスりませんでしたか?
今回の答案づくりで意識したいことは、切り分けです。
特に大切なのは、第3問は人員の入れ替え、第4問は現在の選手への働きかけ、第5問は球団の仕組みへの投資と、施策の対象を分けることが重要で、ここをごちゃ混ぜにするとギャンブル大会になってしまいます。
特に注意したいのは、第3問と第4問の違いです。第3問は「組織に悪影響を与える行動をどう是正するか」、第4問は「監督として、どういうマネジメントを継続して組織文化を変えるか」。この区別をつけることで、同じような解答を繰り返すことを避けられます。
そして第5問は、組織の意識改革だけでチームを強くしようとせず、設備・データ・医学的知見というハード・専門性の面にも目を向けていきます。
切り分けのポイントは、与件文や設問文中の記載や、理論であることが多いです。今回は第3・4問は人事施策(機能別戦略)、第5問はリソースベースドビュー(企業戦略)にしています。そして人事施策のうち第3問は採用・配置、第4問は育成・評価・報酬としています。ここの切り分けができるかどうかが、この事例で60点以上(A評価)を取れるかどうかのカギです。
しかし、診断士受験生だと多くの方がギャンブル大会になり、マグレ当たりの人と全くダメな人に二分します。また、逃げの手(負けない戦い狙い)であるのが「意識改革」を何度も書くパターンですが、これも近年では試験委員から見透かされているため、点数が延びません。
組織文化の改善と、競技力を高めるための経営資源の整備。この両輪で考えられることが、今回の事例のポイントでした。

いかがでしたか?
診断士の方は2次試験の事例問題っぽい内容を見るのは久々だったのではないでしょうか?
今回もありがとうございました。